『request』短編集
申し訳ない気持ちで
カップケーキを持つ手を下げかけた、時。
「僕…こういうのに疎いから」
そんな私の手には触れず
浅川くんは綺麗にラッピングしたそれを
「ずっと、受け取れなくてごめん」
「っ…!」
優しく、手に取ってくれたんだ。
まさか受け取ってくれるとは思ってなかった。断られたのだから、このカップケーキもいらないと言われると思ってた。
なのに。なのにっ…!!
「すごく美味しそうだね」
そのカップケーキは今、浅川くんの手の中に。
ずっと願ってたこと
それが今
叶ったのだから。