『request』短編集
その場所へと迎えに行けば、案の定男といるしアイツ。
まあ、男だけじゃなく女の姿もあるけど。
「月姫。」
そう呼びかければ
「うあっ、おかえりぃ」
意味の分からない言葉とともに、トテトテと危なっかしい歩き方で俺に寄ってくる。
その顔はとろんとしていて、頬は真っ赤に近い。……今日はいつも以上にベロベロだな。
「いつもすみません」
そう頭を下げているのは、迎えに来る度に毎度見かける男で。
「いえ。妻が毎度お騒がせしてすみません」
俺も軽く頭を下げる。
妻、なんて言葉
普段は言わねーくせに。