『request』短編集
「っ………」
荒々しくそのブレスレットを外し、この時眺めていた川へと投げ捨てた。
ブレスレットは一瞬水面に浮かぶと、ゆっくりと時間をかけて沈んでいく。
それは離れ離れになった日から
今日までの私の気持ちのように
ゆっくりと、沈む。
私はただただその瞬間を眺めるだけで、
そのブレスレットが見えなくなった今、私は静かに涙を流していた。
これで、彼との繋がりはなくなった。
もう後戻りはできない。
きっとこれでいい。
これで良かったんだ。
あのままずっと待っていたって───心が押し潰されるだけなのだから。