『request』短編集







「お姉ちゃん何してるの?」






家に帰ってすぐに部屋の中を掃除した。





「断捨離、かな」





彼との思い出は全部捨てる。


写真も、何もかも。





今捨てないと


きっとまた思い出してしまう。






「これ全部要らない物~?」


「うん」


「じゃあ私が貰っちゃってもいいよね?」


「………うん」





「やった!」そう言って嬉しそうにゴミ袋の中を漁る妹を横目で見て、再び手を動かす。





彼との思い出は沢山あった。


それは彼と過ごした時間が長かったから自然と物も増えていった。


サプライズが苦手な彼から貰った誕生日プレゼントやクリスマスプレゼント。一緒に出掛けた何気ない場所のパンフレットやチケット。


些細なものでさえ、私は大切に保管していたの。




学生の頃からずっと一緒にいたんだ。こんなに量があって当たり前。




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