『request』短編集
高校3年生の2月。
人生で初めて、バレンタインチョコを貰った。
ずっと無縁だった物を
僕に渡してくれたその子は
「浅川くーん!!遊びに来たよ~!」
「綾瀬さん……」
ほぼ毎日、パン屋に遊びに来る。
「今日も美味しそうなパンいっぱい揃ってるね~」
「……今日も食べていくの?」
「もっちろん!!」
そして、
ほぼ毎日カフェでパンを頬張っている。
「美味し~!!!ほっぺた落ちる!!」
「毎日食べて飽きないんだね…」
「飽きないよ!朝昼晩食べても飽きない自信ある!!」
その顔は、嘘をついていない。