『request』短編集
そしてホワイトデー当日。
いつものようにパン屋へやってきた綾瀬さんを
今日は公園へと連れ出した。
店だと、なんだか、恥ずかしくて。
「なになにっ?何か貰えるのかな~?」
「もう分かってるでしょ…」
クスクスと笑って
たぶん勘づいてる綾瀬さんに
手渡したのは
「あっ!私の好きなチョコだ~!しかも10個も!!」
この間コンビニで買った10円チョコ。
もちろん、喜んでくれてる。
じゃあもうそれだけでいいんじゃないか?
僕の作った見た目の悪いパンなんて……