『request』短編集




(………ああ、でも)





きっと、渡しても後悔しない。



綾瀬さんなら





「え、えっ!!?」





美味しいって食べてくれる気がして。





何も言わずに綾瀬さんへパンの入った袋を手渡した。




なぜか顔を見れなくて、下を向いて。





「くれるの!?」


「うん…」


「やった!!パン大好き~!」





そう言う綾瀬さんは、きっとまだこのパンを僕が作ったと思っていない。





その袋から取り出せば、気づくはず。




見た目の悪さに





「わぁっ……」





誰が作ったかなんて。




< 84 / 225 >

この作品をシェア

pagetop