『request』短編集







「ねぇ…綾瀬さん、」





聞いてみようと思って声をかけた時






「………………」





急に綾瀬さんが黙り込んで下を向いたから






(……やっぱり。ダメだったのかも)






渡したことに、この瞬間少し後悔した。






「浅川くん、」


「なに…?」


「これって…浅川くんが作ったの?」




「………、…うん。


ごめん、無理して食べなくていいから───」






美味しくないんだと思った、が。





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