『request』短編集
花は、優しく扱わなければ枯れてしまう。
「ん……」
ゆっくりと閉じていた目を開ける。
窓から差し込む光に目を細めれば、
この瞬間に朝なんだと気づく。
ああ、もう朝なんだ。起きないと。
普段なら起きて1番にそう思うはずなのに、
「華、」
少し焦るように彼女の姿を探す。
彼女はそんな俺とは違って、隣で未だ寝息をたてて気持ちよさそうに眠っていた。
その姿を見つけてホッと安堵の溜め息。