『request』短編集
(それにしても……)
嫌な夢を見た。
華が恐怖に怯えている姿。俺を見て、怖くてたまらないと言いたげな表情を浮かべてた。
現実で起こしてしまった出来事が夢にまで出てくるなんて……俺にとってもだいぶトラウマな出来事なのだろう。
紛れもなく、怖い思いをしたのは華の方なのに。
「………………」
眠る彼女の横顔を見つめる。
「……、……?」
が。
そんな彼女の頬には、なんだろう……泣き跡?
涙がツーっと頬を伝ったような跡がある。
(なんで泣いて…)
……また、俺が?