『request』短編集
華を泣かせてしまうような" 何か "をしてしまったんじゃないかと、焦りからか心臓がやけに早く動く。
自覚が無い。だからこそ怖い。
二度と悲しませることはしないと、誓ったばかりだというのに───…
その跡に手を添えて
拭うような動作をすれば、
「ん…?」
薄らと目を開けた華。
起こしてしまったかと思って
咄嗟に、隠すように手を布団の中へと戻す。
起きたばかりでぼんやりとしている華と目が合うと、
「おはよ、優」
ふわり、と。一気に周りが明るくなるような笑顔を浮かべた。