『request』短編集




背を向ける俺を後ろから抱きしめる華。





その手や身体は温かくて優しくて






「私は幸せなんだよ。この涙も幸せだから流れるの」






どこか掠れた声でそう発した華も



きっと今涙を流していて






「優のその涙も、幸せだから流れるんだよ」






俺は静かに目元へ手を当てた。






……ああ、本当だ。




冷たくない。


…あたたかい。





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