宛先不明ですが、手紙をしたためました。
プロローグ
私が幼い頃に、興味本位で聞いた両親の馴れ初め。
2人は元々、中学の時の同級生なのだそうだ。
それから、大人なって、仕事の関係で再会を果たしたらしい。
2人とも、それを「奇跡」のようだ、と懐かしんで呟いた。
でも、私はいつも、そうは思えなかった。
確かに、再会するということは、滅多にないかもしれないけど。
だけど、お父さんもお母さんも、どんな形であれ、お互いを想い続けていたから、再会を喜べたのだと思う。
そこに至るまでに嬉しい、苦しい、たくさんの思いを抱えてきたからこそだと、私は思ってきた。
「奇跡」なんてもので、片付けちゃいけない。
苦悩が、叶ったんだ。
今日も優しい眼差しで言葉を交わす2人は、もうずっと私の憧れ──。
【宛先不明ですが、手紙をしたためました。】
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