宛先不明ですが、手紙をしたためました。
「ごめんね……! 華世が悪い訳じゃないのに。全ての元凶はあいつなのに。違うよ! 私が許せないって言ったのは、海藤対してだからね! そこは分かってね」
「当然じゃん! にしても、あいつ。華世を傷付けるなんて、許せない」
そして、そのまま楓は黙り込み、何かを考えている。
私は、じっと様子を窺うことしか出来ない。
少しの沈黙の後、楓がとうとう呟いた。
「これは、先手を打っとくべきだね」
「……先手?」
神妙な面持ちの楓に、唾を呑み込む。
「方法は誰が考えたって、1つしかない!」
「え」
「華世くん。君にはまだ難しいかね? 私は今日、幸いにもバイトのシフトが入っていない……」
「楓、先生……?」
「心配事は早めに片付けた方が良い! 今日、決行しよう」
「何を?」
「待ち伏せするよ!」
「……誰を?」
「かぁー! 君って奴は! 大丈夫。すぐに分からせてあげるよ」
その後も、疑問符を浮かべたまま、その日を過ごした私だ。