宛先不明ですが、手紙をしたためました。
予想されていた結果
楓と、部活終わりの健太くんを待ち伏せて、3人で海藤くん悪事対策委員会を結託した、その後。
数日、特に何が起こる訳ではなく、毎日を平穏に過ごしていた。
しかし、ついに避けることの出来ない状況に陥る。
私は授業後の黒板を綺麗に消し終わり、何故かお尻に付いたチョークの粉を払う。
そして、黒板の近くで見守ってくれていた楓に、今の不安を打つけた。
「どうしよう、楓。今日、海藤くんと日直だ」
日直なんて月に1、2回、当たるかどうかというところで、そのうえ、今まで海藤くんが真面目に日直の仕事にあたったことなんて、入学してから一度も見たことがない。
案の定、現在、1限目が終わった後の休み時間だが、海藤くんが黒板を消しに来ることはなかった。
だから、心配などしていなかった、今までは。
しかし、ここ最近の状況だから、不安にもなる。
今日の日直は、何かしら起こる気がした。
すると、楓が教室の端にいる健太くんに、目配せをした。
健太くんもそれに直ぐ気付き、さりげなく絶妙な距離感を保ち、近づいて来てくれる。
そして、野球の指南書を読むフリをしながら、小声で話を始めた。
「……どうしたんすか……?」
「今日、華世、あいつと2人で日直らしいです」
「ヤバいっすね」
「そうでしょ」
2人は忍か何かなのかな? と思えてしまう程に、こそこそやり取りをしている。
同じ教室で大勢の女子に話し掛けられている海藤くんに覚られないよう、巧みに会話をしている。
私も頑張って、参加したい、と声を慎重に発した。
「……ほ、放課後、最後の戸締まりのときが、不安……」
すると、3人の視線が合致した。
「分かってたよ、華世!」
「……よし。張るか」
こうして、こんなにもすんなりと、放課後の対策内容が決定してしまったのだ。