宛先不明ですが、手紙をしたためました。



確かにお母さんは、趣味が多い。

だけど。

私が思ったこと、そのままを淡々と述べると、お父さんは頷く。



「いや。華世の言う通りだ。ありがとう。華さんも、華世も大切な家族だよ。絶対に守りたいと思える」

「だってさ、お母さん」



私は、その場で座ったまま、キッチンの方を振り返る。

キッチンにて、夕食の食器の片付けをしていたお母さん。

実は、ダイニングキッチンの為、ほぼほぼ直ぐ側に居た。

こんな話を何の恥ずかしげも無く、親子で語り合っていたのだ。

その話題の中心になりつつあった当人が、こちらを振り向くと、顔が真っ赤に染まり上がっている。



「あー! お母さん、顔、真っ赤だ」



私のお母さんの特徴の1つでもある。

直ぐ顔に出やすくて、感情豊かだ。

ただし、内弁慶というやつで、外に出ると表情筋が機能しなくなる。

こうして、家族で過ごしている時間だけは、分かりやすい。

お母さんは顔を真っ赤にしたままで、はにみ言った。



「ありがとうございます」



お母さんは表情は、嬉しそうだ。

それに対して、お父さんも照れている。



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