宛先不明ですが、手紙をしたためました。



さらに、照れ隠しを重ねた。



「まぁ、守ろうと思っても、空振りしちゃって、逆に傷付けちゃったことも、今まで何度も、あったけどね……」



あはは、と笑いで誤魔化しているお父さんに、お母さんが変わらない優しい雰囲気のまま言う。



「……空振り三振、そんな日があったって、良いと思うよ」



予想していなかったお母さんの言葉に、お父さんと私の驚いた声が揃う。

そんな、さすが親子と言いたくなるような2人を見て、お母さんはクスクス笑った。



「普段から、私や華世の為に、って努めてくれているからこそ、その舞台に立てるんやんか。そもそも、その舞台すら踏めやんかったら、三振っていう結果すら残せやんよ」

「そんな風に認めてもらえて、幸せな父親です。でも、三振って結果は、出来れば残したくないかな」



冗談が混じえられた、他の人が聞いていると、意味が伝わらないような会話も、すんなりと受け入れられる。

そんな2人が、やっぱり凄いと思った。



「お父さんは仕事だけじゃなくて、家族の為に全身全霊で、頑張ってくれとる、ってことやに」



私を取り残さないよう、ちゃんと掬い上げてくれるのは、さすがお母さんだな、とも思った。


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