記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
私に口づける。

彼の口から、私の口の中に水分が移される。

温かな水分がのどを通り、体にいきわたっていく。


「前にも・・・」
「ん?」
「前にも同じように・・・」
ふとよぎった映像。
紫苑に聞く。

「ご両親が亡くなってから3日後だった。俺が桐乃のもとに行けたのは。」

私の頭をよぎった映像は、紫苑が同じように私に口づけながら、水分を取らせてくれているものだった。
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