記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
家の中をゆっくりと見たことの無い私。
紫苑との時間はかなり過保護にされていて、ほとんどベッドとソファにしかいなかった。

入浴中も、転んだら大変だからと、浴室の扉の前で紫苑は座って私を待っていた彼。
私たちの部屋にはシャワー室と湯船のある浴室があって、そこは完全にリフォームをしたと彼が教えてくれた。

キッチンも私と結婚してから完全にリフォームしてくれたらしく、背の高い紫苑には高さが低く、私の身長に合わせて、キッチンボードも特注してくれたらしい。

この家には私が彼と一緒に過ごしてきた時間が、カタチになってのこっている。

だからと言って何かを思い出せるわけじゃないけど・・・使っていたら、触れていたら、何か思いだせるんじゃないかと思っている。

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