記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
紫苑が予約してくれていたのは、カジュアルな雰囲気ながらも、一流のシェフが調理しているという私も知っているレストランだった。
「ここ?」
「そう。」
「すごい」
予約がなかなか取れないことも知っている。

「行こうか」
「うん」
紫苑にエスコートされながらレストランの中に入る。

「今日はこっち。」
紫苑はたくさんの人がいるテーブル席の奥に私を案内してくれる。

「え?」
彼が開いた扉の奥は個室になっている。
「ゆっくり食事したかったんだ。つわりも少しずつ落ち着いてきてるし、せっかくだからさ。」
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