記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
「えらいついでに勉強もした」
『えらいえらい』
仕事の合間にくれる彼からの連絡。
『今日は今のところ順調に仕事終わってるから、早く帰れる。何か必要なものある?』
まだ体調のこともあり、一人では出かけたことの無い私。

買い物は紫苑が休みの日に二人で行くか、仕事帰りに紫苑が買ってきてくれる。
「今日はない。ありがとう。」
『いつも家事をしてくれてありがとう』
そう言ってくれる彼も、掃除も洗濯も率先してやってくれる。
シャワー室と湯船のある浴室の両方は、紫苑は私に危ないからと掃除させてくれない。

「お仕事、ありがとう」
お互いに離れていても、お互いを想っていることがわかって温かな気持ちになる。
『引き続き安静にして。気を付けてな。』
「ありがとう。紫苑も、頑張ってね。」
『ありがとう。』
最近、恥ずかしがりながらも”紫苑さん”ではなく、紫苑と呼べるようになってきた。
< 191 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop