記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
しばらく抱きしめあっていた私たち。

紫苑は少し冷静さを取り戻して、私にいろいろとクイズを出してくる。

空港で別れるときに着ていた服とか、ウェディング写真を撮るときに紫苑がした忘れ物のこと。
初めて紫苑の部屋で一緒に食べたものとか・・・。

私が正解するたびに彼は嬉しそうに顔をくしゃくしゃにして笑い私にキスをする。

その嬉しそうな顔に、私は涙を流しながら笑顔で答える。

「ずっと思いだせないままかと思ってたのに。今日突然。」
「思い出せないままでいいと思ってたけど、でも・・・やっぱりうれしいな。」
ソファで抱きしめいながら、飾り付けたツリーのライトをつけて、私たちはその光を眺める。

「私もうれしい。」
一気にいろいろと思いだした私。
不思議なもので場面だけじゃなく、すべてのシーンがつながっていて、その時の景色もにおいも感情も、すべてつながったように思いだした。
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