記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
一緒にいる時間が長くなってきたからだろうか。
それとも運命で結ばれているからだろうか。

桐乃は俺が考えていることをよく察する。

同じように何となく俺は桐乃が考えていることが分かる。


出会ってから1年と少し。
今まで出会って来たどの人よりも、俺は綾乃と深くつながりあえていると確信している。

「写真、いっぱい撮ろうね。」
「あぁ。」
こうして桐乃が何かあるごとに写真にのこそうとするのも、まだ乗り越えられないからだ。
辛く苦しかった経験を。

まだ、記憶を失ってしまうことを恐れているんだ。
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