記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
俺には想像もできない。
それだけの経験をしたんだ。

俺は運転席から後部座席に移動する。

綾乃は桐乃の腕の中ですやすやと眠っていた。

「おいで」
俺は彼女を抱きしめる。
今だけはパパとママではなく、紫苑と桐乃として。
「大丈夫よ?私は。」
強がりを言う彼女に何も言わずに俺は桐乃を抱きしめ続ける。

「わかってる」

彼女を信じてる。
でも、誰だって一人では生きていけない。
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