記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
「目、閉じて。今はもう少し休んだほうがいい。目が覚めたら記憶が戻ってるかもしれないし。」
紫苑はそう言って、私の瞳に大きな手を乗せた。

私は痛みに耐えられず目を閉じる。

「大丈夫。きっと大丈夫だ。そばにいる。」
私があきらめて眠ろうとすると、紫苑はそっと手を離して、私の髪を撫で始める。

「愛してる。桐乃。」
目が覚めたら、ちゃんと”私”に戻っているのだろうか。


私は・・・
東京の大学に通ってる。大学4年生。就職が決まって、卒業旅行にニューヨークへ来た。
デザインを勉強するために・・・。本当はヨーロッパへ行くはずが、大きなテロがあって仕方なくニューヨークへ変更した行き先。友達はヨーロッパへいけないならいかないと、私は一人で・・・ニューヨークへ・・・。
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