記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
目が覚めても私の記憶は戻ってはいなかった。

紫苑という私の夫と名乗る人物に、私は今の記憶のすべてを話した。

私の記憶が卒業旅行でニューヨーク行きの飛行機に乗ったところまでだということを話すと、紫苑はきっと思いだせるから今は無理しないようにと言って詳しく私たちの話はしてくれなかった。

「この先生は脳外科の医師なんだ。俺の専門は外科だから、脳外科の先生に診てもらったんだ。」
私のベッドの隣には紫苑。
そして正面には年配の医師が立っていた。

『体調は?』
全く英語が分からない私。
「体調、どう?」
紫苑というこの人は英語が分かるらしい。
「・・・少し頭痛が」
私の言葉に心配そうな表情をしたあとに、紫苑は医師に流暢な英語で話始めた。
< 6 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop