一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「あんな冗談みたいな口約束をリセは覚えていてくれたの?」
「冗談? 俺は本気だ」

 リセは強い力で私の手を引き、その場から連れ去った。
 追いかけてくるのではないかと思っていたけど、啓雅さんは追いかけてこなかった。

「顔色が悪いぞ。歩けるか?」

 レストランの外に出て、エレベーターに乗る。
 よほど顔色が悪かったのか、心配そうに私の顔を覗きこんだ。

「無理そうなら、パリの時みたいに抱えていくけど?」
「そっ……それはやめて!」

 せめてあと三キロは減ってからなら……ううん、絶対に重い!

「リセ。お店にワインと料理のお金を払ってこなかったけど、大丈夫?」

 ぷっとリセは吹き出した。

「食い逃げになると思って心配していたのか?」
「そ、それだけじゃないけど……」
「このホテルはグループ系列のホテルだから、顔パス。後から、請求書を回してくるだろう」
「グループ? 本社?」
「俺が働く麻王(あさお)グループ傘下のホテルだ」
「麻王グループで働いてるの!?」
「そうだ」

 多くの分野に幅広く進出する麻王グループ。
 『財閥』と呼ばれてもおかしくない大企業だ。
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