一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
二階建てになっていて、病棟は西と東にわかれている。
千歳が入院している西病棟へ向かった。
部屋は四人部屋だけど、今は千歳だけで、同じくらいに入院した人たちは、他の病院へ転院していった。
千歳は何度も同じ病室の子を見送っている。
冬に大きな発作が起きて入院して以来、担当医の許可が出ず、今のところ退院の目処はたっていない。
「千歳。調子はどう?」
ベッドを隠すカーテンの隙間から、そっと顔を出した。
ベッドの上には青白い顔をした千歳が、高校の教科書を開き、課題をこなしていた。
「お姉ちゃん! 来てくれたの? 仕事は?」
千歳は長い三つ編みを揺らし、笑顔を浮かべて私のほうを見た。
元気そうな千歳の顔を見て、私も笑顔になった。
「今日は午前中が休みなの」
「本当?」
「本当、本当!」
「それならいいけど……。お姉ちゃんはずっと夢だったデザイナーになったんだから、忙しいでしょう? 私は平気だから、仕事を優先して」
千歳から、私に迷惑をかけたくないという気持ちが伝わってくる。
だからこそ、私は今日、病院に呼ばれた理由を絶対口に出せなかった。
千歳が入院している西病棟へ向かった。
部屋は四人部屋だけど、今は千歳だけで、同じくらいに入院した人たちは、他の病院へ転院していった。
千歳は何度も同じ病室の子を見送っている。
冬に大きな発作が起きて入院して以来、担当医の許可が出ず、今のところ退院の目処はたっていない。
「千歳。調子はどう?」
ベッドを隠すカーテンの隙間から、そっと顔を出した。
ベッドの上には青白い顔をした千歳が、高校の教科書を開き、課題をこなしていた。
「お姉ちゃん! 来てくれたの? 仕事は?」
千歳は長い三つ編みを揺らし、笑顔を浮かべて私のほうを見た。
元気そうな千歳の顔を見て、私も笑顔になった。
「今日は午前中が休みなの」
「本当?」
「本当、本当!」
「それならいいけど……。お姉ちゃんはずっと夢だったデザイナーになったんだから、忙しいでしょう? 私は平気だから、仕事を優先して」
千歳から、私に迷惑をかけたくないという気持ちが伝わってくる。
だからこそ、私は今日、病院に呼ばれた理由を絶対口に出せなかった。