一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 千歳が安全な場所に移されたら、父も継母も私になにもできなくなる。
 啓雅さんが私の自由を奪うために、父に借金をさせた三千万。
 父に返済能力があるとは思えず、借金を踏み倒されるかもしれないのだ。

「アパートまでくる確率が高い。押し掛ける連中は、他にもいるだろう」

 リセははっきり言わなかったけど、父と継母が押しかけてきて、なにをするかわからない。
 そう言いたかったんだと思う。
 千歳のことがなければ、もう二度と二人に利用されずに済む。
 リセはそれを全部わかっていて、私の引っ越しを急いでいる。

「リセ。どうして私にここまでしてくれるの?」
「その答えは簡単に教えてあげられないな」
「えっ? どうして?」
「琉永が俺を覚えていないから」

 ――それって、私との初めての出会いが、パリではなかったってこと?

 意地悪な答えだったけど、覚えてない私が悪いというように、リセは絶対教えてくれなかった。
 運転するリセをチラッと横目で見る。

 ――こんなかっこいい人、一度見たら、絶対忘れられないと思うけど。

 その上、頭がよくて綺麗で、お金持ちなリセ。
 ただのモデルとは思えない。
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