一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
第17話 リセと理世
 ――リセのこと、なんて説明したらいいんだろう。

 リセを知らない人なんていない。
 わかってるはずなのに、リセはためらうことなく、事務所へ入っていった。
 事務所に入ると、私が先に入ったのに、視線を奪ったのは、リセだった。

「おはようございます。あの、遅れてすみませ……」
「ぎゃー! リセ!?」
「やっ、やばぁっー! マジで美人なんだけどっ!」
「生? 生よね」

 ドドドドッと先輩達が寄ってきて、紡生(つむぎ)さんなんて、ペタペタと体に触り、実体をたしかめる。
 そして、自分の手をジッと見つめた。

「幻影じゃない……」
「ホログラムでもないわね」

 恩未(めぐみ)さんでさえ、疑っていたようだ。

「ほ、ほんものだー! モデルのリセだあぁぁー!」
「ひぃぃぃっ! まぶしっー! 目がつぶれるっ!」

 リセの前に出て、私が出勤してきたことを一生懸命アピールしているにも関わらず、まったく気づいていなかった。
 こうなるってわかっていた。
 わかってたけど、こんなの悲しすぎる。

「もういいかな」
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