一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 ツマで大喜利が始まりそうだったのを私が止めた。

「私、結婚しました」

 先輩たちがやっと私を見た。
 ようやく私という存在が認識されて、ホッとしていると、恩未さんが近寄ってきて、私の額に手をあてた。

「熱はないわね」
「ありませんっ!」

 リセがデザイン画をテーブルに投げた。

「琉永と結婚した。そんなことより、『Fill(フィル)』のことだ」

 サングラスをはずし、リセは手の中でそれをもてあそぶ。

「待って。私たちのブランドが、モデルのリセとどう関係してくるのかしら? まったく理解が追いついていないのだけど?」
「そっ、そうだよ~!」

 さすがに恩未さんと紡生さんは、『Fill(フィル)』の名前を出されたら、リセのことより気になるようだ。

「『Fill(フィル)』の今後は?」
「えっと、展示会をやって、取引先から注文を受けるとこかな」
「夏のセールでしょ。新作の秋物を出して、その後はアウター類の売り出し、プレセール。春夏の展示会の準備と正月の初売り……」

 ――考えただけでも忙しい。
 
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