一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 ――だよね。私を私より、わかってる。大人で頭が良くて、余裕たっぷりなリセ。だから、リセといる時だけは、安心していられる。

「だから、専務夫人でも社長夫人でも、構わないだろ?」

 リセは私の頬に手をあて、私を誘惑する。

 ――ず、ずるい。

 そう思うけど、その顔を至近距離で見て、お断りできるわけがなかった。
 美しいものに弱いのは、私だけではなく、周りもそう。
 映画のワンシーンの見るかのように、うっとりとリセを眺めている。
 
 ――私もいるんですけどね?

 納得できない気持ちだったけど、イチャイチャしていると思われるのも困るので、リセから距離を取る。

「それでどうしたい? このままだと『Fill(フィル)』はなくなる。INUIグループはファストファッションの大手企業だ。『Fill(フィル)』に似せたデザインの服を大量に生産して、安く販売するぞ」
「そんな簡単にはいかないよ。うちのブランドはこだわりがあるし、固定客も多い」

 リセは紡生(つむぎ)さんの言葉にため息をついた。

「すでにINUIグループは動き出している。ファッションビルの隣の店舗が空いてるな?」
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