一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「空いているけど、まさかそこにINUIグループのブランドが入るってこと!?」

 恩未(めぐみ)さんの顔が青ざめた。

「そうだ。隣に安くて似たような服があれば、そっちに客は流れる」

 もう始まっているのだ。
 啓雅(けいが)さんの私への仕返しが――どうしようと思っていると、リセは言った。

「これはINUIグループだけじゃない。『Fill(フィル)』は遅かれ早かれそうなっていた。シンプルでデザインがいい服を大量生産すれば、売れるからな」

 紡生さんは反論しなかった。
 トップデザイナーとして気づいていたのだ。
 そして、悔しそうにしている恩未さんも。

「なぜ、成長できなかったかわかるか? 素材が高いものに変わってきて、以前の客層から外れ、購買力が落ちている。素材にこだわりすぎた結果、素材のいいシンプルな服を置いているカジュアルブランド。それが、今のブランドイメージだ」
「リセ! 先輩達は一生懸命考えて……!」
「ありがとう。琉永(るな)ちゃん。事実だからいいよ。かばわなくて」

 紡生さんは落ち込んでいるけど、リセは止まらない。
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