一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「二人がいるから、このブランドがあるのに!」

 不安げな表情で、全員がリセを見た。
 このままの形で、『Fill(フィル)』を残すには、リセの力が必要だった。

「現状を理解したか」

 リセは理世になっていた。
 あの優しくて、悩みを聞いてくれたモデルのリセはいない。
 いまのリセは、完全に麻王理世だ。

「これはすべてボツだ。デザイナーは全員、自信のあるデザイン画を提出。描いたものは俺が見て、いいと思ったものを商品化する」

 ざわっと事務所内がざわめいた。
 今までは紡生さんと恩未さんが、私たちのデザイン画を見てきた。

 ――デザインチェックを理世がやるなんて、きっと反発される。

 戸惑っていたけれど、紡生さんが足元のデザイン画を拾ってゴミ箱に捨てた。
 それを見て全員、なにも言えなくなった。

「わかった……。デザイナーは全員参加で、デザイン画を提出。彼の目にかなったものだけを商品化していく」
「紡生!」

 恩未さんを手で制し、紡生さんは言った。
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