一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 たしかにリセが着ている服は、体にぴったりあっていて、袖もちょうどいいサイズ感。
 上手く着こなしているからだと思ったけど、服もすごいのだとわかった。

「だが、作るのは既製服だ。採寸して作るオートクチュールとは違う。体のつくりが人によって違っても、限界だと思うところまで近づける。いい素材を使いたいなら、自分たちのレベルも上げる必要がある」

 リセが思い描いたのは、シンプルでカジュアル、それでいて上品なものを。
 それは、『Fill(フィル)』というブランドをリセがわかっているからこそ、提案だった。
 恩未さんと他のパタンナーたちはうなずいた。

「みんな、私は頑張る。だから、みんなも頑張ってほしい! このままだと『Fill(フィル)』は奪われてしまう。奪われるくらいなら、魔王にだって魂を売って阻止してやろう!」
「誰が魔王だ」

 リセには申し訳ないけど、私も紡生さんの言葉にうなずいてしまっていた。
 みんなの気持ちがひとつになったところで、リセがが椅子から立ち上がった。
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