一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 ――麻王グループ専務だし、自分の仕事もあるのに、理世は私のためにスケジュールを空けてくれてたんだ。

 リセの優しさに胸が苦しくなった。
 
 ――デザイン画、がんばろう。リセをがっかりさせないように!

 そう思ったのは、私だけじゃないようで、最近、現実逃避をしていた紡生さんが、天に向かって拳を掲げた。

「デザイン画百枚! やってやる! このまま、馬鹿にされて終わってたまるかっー!」
「パタンナーは今あるサンプルが、『Lorelei(ローレライ)』のパタンナーに劣らないかどうか、各自見直しましょう!」

Lorelei(ローレライ)』のパタンナーに学べるチャンスなんて、滅多にない。
 全員、真剣な表情をし、動き出した。

 ――『Fill(フィル)』の空気が変わった。今までとは違う。
 
 漠然としたものから、目指すものがはっきりした。
 この空気を作ったのは、リセだ。 

「魔法みたい」

 理世といるとなんでもできる気がする。
 たくさん、アイデアが沸いてきて、どれだけでも描けてしまう。
 
「うわ! なに、そのネジ一本ぶっとんだ顔は」
「幸せボケってあるのね」
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