一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「そうそう! あの男がプロデュースするもので失敗したものはないんだから。つまり、計算し尽くされた完璧なプラン。だから、琉永ちゃんのことも以前から狙っていたと思うわよ」

 いつもは冷静な恩未さんまで、私のことをリセが以前から好きだったみたいなことを言い出した。
 そういえば、『一目惚れ』って言ってた。
 私と初めて出会った場所は、まだ教えてもらっていない。

「リセは私でなくても、素敵な女性が周りにたくさんいそうですし、私を狙う必要なんてないありません。でも、私はリセに少しでもふさわしい女性になりたいって思ってます」
「ぐっ! ピュアすぎる! 恩未! なにを言っても駄目だ! 琉永ちゃんの頭の中は春だ! 蝶が飛んで、虫がわいている!」
「どうやらそのようね」

 ――虫って失礼な。
 
 リセの素敵さを私が語るしかないと思った。

「二人とも疑心暗鬼になりすぎですよ。リセは優しくて親切で、頼りになるんです。何度も私の窮地を救ってくれたんですよ」
「あ、うん……。だからね、その何度もどうして、都合よく現れたんだろうって……ね?」
「偶然です」
「そ、そっかあ……」

紡生さんは虚ろな目をして、鉛筆を数本握りしめて固まっていた。

「紡生。あんた、これからは真面目に生きなさい。純粋な琉永ちゃんを魔王に差し出してしまったんだから、絶対、地獄行きよ」
「そうだね……」

 私はまだリセの麻王グループ専務、次期社長という肩書のすごさを実感できてなかった。
 
 ――私の中で、リセはまだリセで、理世ではなかったのだった。
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