一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 ――ビルは麻王(あさお)グループの持ち物だが、アパレル部門の利益はほとんど『Lorelei(ローレライ)』が占めている。誰も文句は言えない。いや、言わせないのか。
 
 人形のようなローレライをイメージモデルに起用するよう提案したのは俺だ。
 表向きは悠世としたのは、あくまで俺は裏方の役目を担うつもりでいたからだ。

「父さん。ローレライがいなかったら、理世にはもっとモデルとして働いてもらうことになっていたよ? ローレライに感謝だね」

 父は悠世をにらんだ。
 息子たちにそこまで厳しくない父だが、将来、麻王グループの社長になる俺に女装させ、モデルをやらせるのだけは、断固反対している。
 もちろん、悠世が父の言うことを聞くわけもないのだが……
  
 ――父が怒りたい気持ちもわかる。悠世には反省という文字がないからな。それから、常識も。
 
「悠世。言っておくが、理世はいずれ麻王グループの社長になる。今後、女装させるのは禁止だ。お前が自由にできるのも、理世のおかげだということを忘れるな」
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