一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「わかってるよ。理世は麻王グループの顔で代表者。俺はただのデザイナー。優秀な弟の邪魔になりたくない」
「ひがんだフリをするな」

 父は悠世の演技を見抜き、本気で怒っていることに気づいた。

「父さん。血圧が上がるよ? 俺はただ弟が結婚して引っ越すというから、お祝いにきただけなのに、説教されるとはね」
「お前が祝いだけのためにくるとは思わん」
「さすが父さん。正解。理世の結婚相手がどんな相手なのか、聞きたかっただけだ」

 いつもなら、父と悠世の間に入って、仲介する母は、友人たちと観劇で不在だった。
 友人といっても、麻王グループの奥様たちで、麻王グループがスポンサーを務める舞台を観に行っている。
 オペラ、バレエなどに対しても、スポンサーとして援助しており、主にそちらの人間関係は母が築いたものだ。

「父さん。説明不足だった俺も悪い」

 俺が二人の間に入ると、父は黙った。
 とはいえ、父も俺の相手について知りたい気持ちがあるからだろう。
 母のほうは、『理世さんが選んだ相手なら、どなたでも』という受け身なタイプである。
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