一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 信頼されているというより、重大な決定は、祖父と父に任せているというのが正しい。

「相手は『Fill(フィル)』の新人デザイナーだろう?」

 すでに悠世は、誰から聞いたのか、把握していた。
 
 ――どこまで知ってるのか。

「去年、俺が『Lorelei(ローレライ)』で使えそうなデザイナーを探していた時、理世はいないって答えていたよな?」
「言った」
「俺が目をつけていたデザイナーとパタンナーに独立された。その上、お前の結婚相手が『Fill(フィル)』の新人デザイナー。理世、なにを考えてる?」

 悠世は面白くないだろう。
 先に『Fill(フィル)』の二人を見つけたのは悠世で、ブランドが駄目になった後は引き抜こうと思っていたに違いない。

「『Fill(フィル)』は潰させない」

 悠世はあーあと言いながら、肩を落とした。

「麻王グループのアパレル部門に入れる。『Fill(フィル)』が加われば、アパレル部門の強化になる」

 父は納得したようで、ホッとした顔をした。
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