一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「なるほど。理世の結婚はそのためか。それなら、結婚するのもわかる。だが、スキャンダルとは無縁だろうな」

 俺が恋愛感情を持って結婚する人間だと、誰も思わないらしい。

「普通ですよ」

 父はちらっとローレライと悠世を眺める。

「……普通ならいい」

 悠世に苦労している分、俺の結婚相手の判断基準が甘くなっている気がするが、それも仕方ない話だ。
 ローレライを悠世が連れてきた時、彼女の年齢は二十歳だったが、見た目は少女。
 あの時の父は『理世! 悠世の私生活を調べてくれ! とうとう犯罪に走ったかもしれん!』と、大慌てしていたことを思えば、『普通』であればいいらしい。
 悠世は納得していないようで、俺の胸の内を知っているぞとでもいうような顔だった。
 その隣にいるローレライは、色素の薄い瞳をこちらへ向け、ジッと見つめてくる。

 ――この二人には隠せないか。

 特にローレライは黙っている分、人をよく観察している。
 だから、俺がいつもと違うと気づいてもおかしくなかった。
 
「改めて紹介する。デザイナーとして、兄さんの前に現れるほうが、早いかもしれないが」
「どうかな」
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