一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 悠世は余裕たっぷりに笑う。

「理世のことはもういい。理世は自分の立場をわかっている。だが、問題はお前だ。書斎に来なさい」

 ローレライに聞かせたくないからか、父は悠世だけを呼んだ。
 リビングに残ったのは、俺とローレライだけ。

「いいのか? きっと悠世の結婚話だぞ」

 ローレライは一瞬だけ、悠世の背中を視線で追った。
 でも、すぐに俺へ視線を戻す。

「結婚、おめでとう。理世が好きな人とうまくいって、私も嬉しい」

 表情がほんの少しだけ変化し、笑顔を浮かべた。

 ――悠世が連れてきた時は、表情がなかった。

 悠世はローレライを大切にしているのだとわかる。
 ローレライは悠世を追わず、温くなったお茶を飲みながら待つようだ。

 ――あの二人の関係は、よくわからないな。

 恋人だとは思うが、仕事のパートナーでもある。
 割り切って付き合っているのは、果たしてどちらなのか――ローレライの作り物のような横顔を眺めた。
 これは、二人にしかわからない関係だ。

「引っ越しがあるから、俺は行く」

 ローレライはうなずき、俺を見送った。
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