一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 
 ――デザイナーか。

 忙しいはずだ。
 後輩は迷惑をかけたと泣いていたが、彼女は泣いてなかった。
 どうにかしてやるという顔をして、これから始まるショーを考えていた。
  
「土壇場に強く、根性もある。悠世が気に入りそうだ」

 会場に入り、しばらく眺めていたが、『Fill(フィル)』の二人組ほどの才能を感じる者は、今のところいない。
 ショーも終盤になり、テーマはオートクチュール。
 華やかでショーの最後を飾るにはふさわしい。

「ウェディングドレスか」

 ――いた。清中琉永だ。
 
 彼女自身がモデル役をこなしているが、珍しいパンツスタイルのウェディングドレス。
 だが、少しも地味ではない。
 大きなリボンにも見える巻きスカート、肩から垂らしたリボンが、シンプルだが。きちんとドレスとして、魅せている。
 レースのトレーンは長く、白のブーケを手にした彼女は満面の笑み。

 ――幸せそうだ。

 観客の目は華やかなドレスではなく、彼女のシンプルなドレスへ向けられている。
 このショーで、高評価を得るのは誰なのか、俺にはもうわかっていた。
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