一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 正解だったらしく、啓雅さんから、さっきまでの余裕がなくなった。
 理世はスーツ姿で、リセの時とは違う迫力がある。
 笑っただけで相手を圧倒するのは、理世だからこそできることだ。

「琉永、おはよう」
「お、おはよう?」

 ――さわやかな挨拶を交わしている場合じゃないと思うけど。
 
 その笑顔は、朝に相応しいさわやかな笑顔だった。
 さわやかな理世に『Fill(フィル)』のみんながざわめいた。

「いやいや、さすがに差別がすぎるだろ」
「二人の世界で、俺たちまで眼中にない。乾井さんが気の毒になっちゃうよ」

 私のそばに立った理世は、額に軽いキスを落とす。
 映画のワンシーンみたいに、さりげなくて、かっこいい。

「朝の挨拶」

 理世に見惚れている人たちと違って、啓雅さんは怒りだした。

「ふ、不貞か! 婚約者の不貞だぞ! 慰謝料を要求してやる!」
「なにを言ってるんだ? 琉永は俺の妻だ。朝のキスくらい当たり前だろ?」
「妻!?」
「私、理世と結婚しました」

 そういえば、父に連絡していなかったことを思い出した。
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