一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 私だけでなく、『Fill(フィル)』も啓雅(けいが)さんから助けてもらったのは事実。
 紡生さんたちは否定したくても否定できなかった。

「確かにそうだけどさー」
「琉永ちゃん。なにかあったら、すぐに相談するのよ」
「は、はあ……」
「そういうわけで、今日は琉永を休ませる。今すぐ引っ越しをしないといけないからな」
「え? 引っ越しは週末の予定だったはず……。それに、理世の仕事は大丈夫?」

 今日だって、仕事前に立ち寄った理世は、スケジュールがいっぱいで忙しいはずだ。
 だから、朝しか時間がとれなかったのだと思う。
 それなのに、私の引っ越しを優先させるのは心苦しい。

「仕事のほうは、後からなんとでもなる。琉永をどうこうしようとするのは、乾井だけじゃないだろう」

 言われて、ぎくりとした。
 すでに父は、私が啓雅さんとの結婚を断ったことは知っているはず。
 清中繊維とINUIグループの契約を切ったと、啓雅さんが言っていたから、すぐにでも怒り狂った父と継母が、アパートに押しかけてくるのは目に見えていた。
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