一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「たしかにそうね。琉永ちゃん、今日は休んで、すぐにでも引っ越しをしたほうがいいわ」
「いやー、どっちみち、今日はみんな帰宅だよ。さすがに疲れたからねー」

 眠らないと死ぬと言って、紡生さんは欠伸をした。
 
「紡生さん、恩未さん。ありがとうございます。私のせいでいろいろと迷惑かけてしまって」

 恩未さんは笑った。

「なに言ってるの。こっちが感謝したいくらいよ。紡生が世界を目指すって言ってくれたんだから。私は紡生の背中を誰かが押して……突き飛ばしてくれるのを待ってたの」

 私だと紡生を甘やかして無理だからねと、恩未さんは言っていたけど、紡生さんの才能を一番信じていて、どこまでもついていくつもりだろう。
 
「ほら。魔王じゃない……えーと、王子様が待ってるわよ」
「誰が魔王だ」

 理世はムッとしながら私の手をとった。

「行こう、琉永」

 事務所の外に出て、二人になり、ようやく実感がわいてきた。
 
 ――私、本当に理世と結婚したんだ。

 夢だと思っていたけど、私とつなぐ手が、これが現実だと教えている。
 何度も私を助けてくれた手に、胸が苦しくなった。
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