一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 悠世さんも理世も、とても大切にされて育ったのだとわかる。
 レンガ造りの家の中に入ると、廊下の白い壁には額縁に入った絵画がずらりと並び、部屋には高そうな置物や壺が飾られている。
 その上、天井にはアンティークものと思われるシャンデリアと曲線が美しい螺旋階段、窓枠の一つ一つにも模様が彫られていて、住んでいた人間のこだわりと趣味の良さを感じた。

「琉永、こっちに」

 理世に呼ばれた先にあったのは、アールデコ模様のガラスのドア。
 開いたその先は、広いアトリエになっており、真新しいトルソーが並び、大きな作業台とミシンも用意されている。

「もしかして、アトリエ?」
「そうだ。琉永の仕事場だ。俺の書斎は向こう」
「こんな広い部屋を私が使ってもいいの? 家もだけど、美術館みたいで……」

 なにもかも、私が思っていた以上のことばかりで、戸惑ってしまう。

「琉永はデザイナーだ。日常的にいいものを見た方がいい。祖父の道楽で集めた美術品が置いてあるだけの家だが、役に立ちそうでよかった」

 ――道楽のレベルが、一般の感覚とかけ離れすぎているんですよ?
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