一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「そうだな。これからの『Fill(フィル)』は、その路線でいくといいかもな。『Fill(フィル)』のデザイナーはシンプルなデザインを好む人間が多い。ブランドイメージにも合う」

 真剣な顔をして、理世は言った。

「まあ、仕事の話は終わりだ」
「え? 終わり?」
「同居初日から仕事の話ばかりじゃね」
「私はまだデザインの話を語り続けたかったのに」
「それは、明日聞くよ。仕事の時間に」

 理世がカップに口をつけ、私も冷めないうちに、一口飲む。
 ラムとシナモンの香りがするホットミルクは甘くて美味しい。

「これ、なんていう飲み物なの?」
「ホット・バタード・ラム・カウっていう飲み物。初めてだった?」
「初めて飲んだホットミルクだけど、美味しいなって思ったから」
「ホットアルコールだ。琉永はアルコールを飲みすぎるなよ。パリでも俺より飲んでいたし、あれが俺じゃなかったら、どうなってたかわからないぞ」

 私はパリでの事件を思い出して、恥ずかしくなった。

「あっ、あれは忘れて!」
「死ぬまで忘れない」
「死ぬまで!?」

 今思うと、あんな大胆なことがよくできたものだ。
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