一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 あの時だからこそ、どうなってもいいと思えたのかもしれない。
 脳裏によぎるのは、恐ろしく美しい理世の顔、指――唇。

「なにを思い出してるんだよ」
「えっ、えーと、パリの風景よ! 風景!」
「ふーん」

 わかってるくせに、理世は意地悪く笑う。
 理世は笑うと、私の目の前に小さな箱を取り出して見せた。

「チョコレート?」
「色気より食い気だな。琉永に渡したら、食べられるかもしれないから、俺が開けよう」
「チョコレートじゃないの?」

 理世が箱を空けると、さらに小さなケースがでてきた。

 ――これって。

 笑顔の理世を見つめて、私は胸が一杯になり、なにも言えなくなった。
 そのケースがなんなのか、説明されなくてもわかる。

「琉永。手を」

 理世は騎士のように、うやうやしい態度で、私の左手に触れる。
 そして、私の目をまっすぐ見つめ返す。

「幸せにする。そして、琉永の将来を守ることを誓う」
「私の将来?」
「有名なデザイナーになるんだろ?」
「私、専務夫人にならなくてもいいの!?」

 理世が触れてないほうの手を伸ばし、私の頬に触れた。
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