一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 まずは、娘の手術について、お礼を言われるのかと思っていたら、違っていた。

「琉永を奪った責任をとっていただきたい」

 申し訳ない顔をするどころか、俺に怒りをぶつけてきた。

「奪った?」
「そうだ。琉永はINUIグループ御曹司と結婚が決まっていた。それを駄目にした責任があるだろう」
「お見合いを一度しただけの相手と結婚?」
「先方が琉永を気に入ってくださり、それで決まった話だ」

 完全に琉永の意思は無視だ。

 ――なるほど。琉永が暗い表情になるわけだ。こちらの話は聞かずに、自分の意見を押し通すタイプか。

「娘が結婚し、こっちが受けとるはずだった利益を受けとる権利がある」
「面白い人間だな」

 悠世は笑いをこらえきれずに、とうとう笑いだした。

「娘を男に売り、それを恥ずかしげもなく公言し、別の人間に金を要求するとはね」
「悠世」
「恥を知らない奴だ。でもまあ、それを理由にお金を払う義務は、こっちにはないよ?」
「誰だ! お前は!」
「麻王悠世。『Lorelei(ローレライ)』のデザイナーだって言えばわかるかな」
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